映画「靖国」:「議論の機会確保」 東京・毎日ホールで試写会

 靖国神社を舞台にしたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」(李纓監督)の一般向け試写会が27日、毎日新聞東京本社「毎日ホール」(東京都千代田区)で開かれた。毎日新聞社、日本ペンクラブが主催し、配給協力・宣伝会社のアルゴ・ピクチャーズが協力した。3月に東京・大阪の5館が相次いで上映中止を決めたため、議論の機会を確保しようと開催した。

 応募した約600人から抽選で選ばれた約80人が参加した。作家の阿刀田高・日本ペンクラブ会長=写真左・三浦博之撮影=は「映画館に勇気を持てというだけでなく、周りにいる心ある人たちが表現の自由を守るために抵抗を示し、支えることが大切だと思う」とあいさつ。ゲストスピーカーの高橋哲哉・東京大大学院教授は「『靖国』をめぐって大きかったのは、上映中止という自主規制が出たことだ。この社会には先走りして空気を読んでしまうところがある」と指摘した。

 李監督は「日本社会ではまだ戦争の歴史問題がきちんと処理されていない。いろんな矛盾や摩擦、衝突が靖国神社の中に集約されている。映画を通じて考えてほしい」とのビデオメッセージを寄せた。【臺宏士】

(毎日新聞 2008年4月28日 東京朝刊)

 


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