映画「靖国」を観る市民の会・福井 設立アピール(2008年4月28日)

1 中国人の李纓(リ・イン)監督が約10年間にわたり靖国神社等を取材して制作したドキュメンタリー映画「靖国」について,上映中止という残念な事態が進行しています。
 文化庁所管の独立行政法人による助成金支出を一部の自民党国会議員が問題視し,また一部週刊誌が同趣旨の記事を書いたことで,右翼団体が騒ぎはじめ,右翼団体の街宣活動などを警戒した東京,大阪等の映画館が「近隣に迷惑がかかる」などの理由で4月12日の予定だった封切りを中止しました。
 社会的問題を扱う映画,大切な文化である映画が,私たち市民の目に触れる前に政治家や一部週刊誌に一方的なレッテルを貼られ,右翼団体から妨害を受けて葬られる,そんな社会でいいのだろうか?――このことが,私たちに問われています。

2 いうまでもなく,映画の上映は日本国憲法の保障する表現の自由に含まれるものであり,映画を観ることは市民の知る権利の重要な一環です。これらの権利は,この日本が民主主義の社会であり続けるために,最も大切にすべき権利であるはずです。それが今,土台から掘り崩されようとしているのです。
 観たい映画が観られなくなる,そんな暗い社会は,誰もがご免被りたいものですが,今,私たち市民が声を上げなければ,未来にはそうした暗い社会が待っているのではないか,そのことを私たちは強く危惧しています。

3 私たち「映画『靖国』を観る市民の会・福井」は,「まずはともかく映画を観たい」「映画上映が不当な圧力によって妨害され,市民の権利や映画という文化が潰されることは絶対に許せない」という強い思いを一致点として,幅広い個人・団体が集まって作った市民団体です。
 いま全国で,多くの人たちが,私たちと同じように映画「靖国」を観たいと思っています。様々な妨害にもかかわらず,上映を決めた映画館が全国で9館,上映に向け調整中の映画館が14館となっています。法律家,マスコミ関係者,映画人,ジャーナリストなど,多くの人々による妨害に抗議する活動も進んでいます。私たちも,こうしたたくさんの市民・団体と一緒に,「誰もが観たい映画を自由に観られる社会」を守りたい,と思っています。

 私たちは,こうした立場から,不当な妨害にさらされた映画「靖国」の上映会を企画し,市民の皆さんに,一緒に映画「靖国」を観ることを広く呼びかけるものです。

  2008年4月28日       

映画「靖国」を観る市民の会・福井

 


映画「靖国」上映を支える弁護士の会・福井 http://www.ne.jp/asahi/yasukuniben/fukui/