ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映妨害は許されない(談話)
2008年4月14日
憲法会議事務局長 長谷川英俊
事務局長 平井 正
ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」が自民党国会議員らの不当な圧力、右翼の妨害等で上映中止に追い込まれています。
自民党国会議員で構成する「伝統と創造の会」は、「反日映画」に文化庁が所管する独立行政法人・日本芸術文化振興会が750万円を出したのは問題だとして、一般公開前の上映を文化庁に求め、国会議員向けの試写会を開催させました。この圧力を契機として、右翼等の妨害が強まり、今月の公開を予定していた東京、大阪の5館が上映を中止しました。
憲法21条が保障する、「言論・表現の自由」は、民主主義を支える根幹にほかなりません。このようなことがまかりとおるなら、表現の自由と国民の知る権利は、政権政党や右翼が許容する範囲に封じ込められ、死滅してしまいます。1月、日本教職員組合の教研集会全体会が右翼の妨害を口実としたホテルに拒否されて開催できなくなり、11日には最高裁が、自衛隊のイラク派兵反対ビラを自衛隊官舎に配布した市民を有罪に処しました。これらの流れをふまえるとき、今回の上映への圧力、妨害問題を軽視することは、いっそうできません。日本弁護士連合会を始め、広範な団体が厳しく批判するのは当然です。
今回、助成金の支出を問題視した人たちは、「伝統と創造の会」や「日本会議国会議員懇談会」等、侵略戦争を反省せず、戦前への復古を狙い、改憲をめざす右翼的な団体に所属する議員です。その一人、自民党の有村治子参議院議員は国会(3月27日)で、助成承認にかかわった専門委員の一人が、「憲法9条をめぐって護憲という立場で」活動をしている「映画人九条の会」のメンバーだから、「公正な立場で審議されず」助成された、と攻撃しました。同氏は日本会議国会議員懇談会事務局次長の任にあります。国会議員の憲法尊重擁護義務を放棄し、憲法9条改悪反対の一点でアピール賛同運動を展開し、広範な国民の支持を得ている「九条の会」に不当な攻撃をすることは、新憲法制定議員同盟などの「九条の会」攻撃と軌を一にするものであり、今回の問題が侵略戦争賛美、憲法改悪策動と深く結び付いたものであることを示しています。
最近の読売新聞などの世論調査でも明らかなように、国民の多数の世論は「改憲反対・9条守れ」にあります。憲法会議は、憲法21条への重大な侵害や、憲法擁護の取り組みへの攻撃など、憲法をふみにじるあらゆる策動に反対するとともに、広範な人たちと力を合わせて、憲法を守り生かす取り組みをいっそう強める決意です。
以上
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